暖色・寒色・膨張色など
暖色・寒色・膨張色など, 色には、その色の持つイメージなどから誘発される色の見え方があります。このページでは、色の温度や前後感、大小、重量感などの、日常生活でもよく使われている「色の効果・見え方」を記載します。
1、暖色と寒色
暖色系・寒色系は最もよく知られている色のイメージです。色の見た目の温度は、色相に関係しています。赤、だいだい、黄色などの暖かさを感じる色を「暖色」、青緑、青などの冷たさを感じる色を「寒色」と言います。緑や黄緑、紫色や無彩色は「中性色」で、寒暖どちらでもない中間的な色です。中性色でも、紫色はどちらかというと「冷たい」と感じます。
色の寒暖差は、なぜ起きるのでしょうか?そこには、色々な心理要素があるそうで、①赤外線は熱作用を起こす、②炎の赤や海の青のイメージが作用しているのではないかと考えられています。
寒色系や暖色系といった色の感じ方は、洋服や食器といった季節感が重要となるコーディネートではとても重要です。夏の暑い日に寒色系の色の食器を使ったり、服を着ると涼しげな感じになりますが、冬の寒い日だと、ちょっと寒々しいですね。クーラーの広告なんかも、暖色系の色にしてしまったら、効きが悪そうです。
黄色から赤に近づくほど、感じる温度は上がり、青緑から青に近づくほど、温度が下がって感じます。
- 暖色系…黄色、だいだい、赤
- 寒色系…青緑、青
- 中性色…黄緑色、緑色、赤紫、黒
暖色系・寒色系の区分けは、色のイメージを整理する上で重要です。
2、進出色と後退色
色には、前に出て見える色と、後ろに下がって見える色があります。
明るい色と暗い色なら、明るい方が前に見えます。また、寒色よりも暖色の方が前に見え、無彩色よりも有彩色の方がより強い効果になります。進出色は、エネルギッシュで、派手で目立つ色でもあります。
- 進出色…明るい暖色、有彩色
- 後退色…暗い寒色、無彩色
3、膨張色と収縮色
同じ面積の色でも、大きく見える色と小さく見える色があります。大きく見える色を「膨張色」といい、小さく見える色を「収縮色」と言います。膨張色と縮小色には、「明度」と「色相」が影響します。最も大きく見える色は「白」で小さく見える色は「黒」です。色相では、暖色が膨張して見え、寒色が収縮色です。
- 膨張色…白、明るい暖色
- 収縮色…黒、暗い寒色
4、重さ・軽さ/硬さ・柔らかさ/過去・未来
これらの感覚は、明度に影響を受ける要素です。
明るい色ほど軽く、柔らかく感じ、暗いほど重たく・硬く感じます。また、明度は時間にも関係しており、暗い色ほどクラッシックに感じ、明るい色ほど未来的な印象を持ちます。
ベビー用品には軽く、柔らかいイメージのパステルカラーが多用されます。礼服や制服といった正式な場で着る服には、黒や紺色のような暗い色が使われています。
室内では、壁や天井を白く、床の色や床に置くインテリアを暗くすると、重力に逆らわない安定した配色になります。全体を白で統一すれば、明るく軽やかな雰囲気になります。
白>黄>だいだい>緑>紫>青>赤>黒
色の見え方と実践
色の見え方を知ることで、用途に合わせた色の使い方、効果的な色の使い方ができます。インテリアやファッションのカラーコーディネート、デザインの配色に役立つ知識です。
<インテリアの例>
1)明るい寒色系のブルーの壁と小物で、明るく爽やかで涼しげな部屋。
2)彩度の高い暖色系の赤を取り入れた、明るく活力を感じる部屋。
3)パステルカラーを基調にした子供部屋
4)明るく軽やかな白を基調にした部屋
より、効果的に色を使うには、他色との関係性(面積比や組み合わせ)による、色の見え方の変化を知ることも必要です。「色の見え方、対比と同化」も読んでみてください。
暖色・寒色・膨張色など, まとめ
色の見え方は、色相や明暗、彩度といった色の三属性で整理すると分かりやすくなります。
- 暖色系:■■■暖かい、興奮、陽気、近い、大きい
- 寒色系:■■■寒い、冷たい、冷静、陰気、遠い、小さい
- 明るい:■■■軽い、やわらかい、陽気、近い、大きい、未来
- 暗 い:■■■重い、硬い、陰気、遠い、小さい、昔・過去
- 鮮やか:■■■派手、興奮する、陽気、元気
- 鈍 い:■■■地味、沈静する、陰気
色には、見る人にイメージを連想させる作用があります。今回紹介しているのは、誰でも同じように感じるイメージの一部です。この他に、日常生活や地域や民族、性別、年齢などによって色に対するイメージは変化します。より詳しい連想イメージについては、次の記事に記載します。
色を体系的に学ぶ
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