初心者向け色鉛筆画講座①道具
初心者向け色鉛筆画講座①道具,私が色鉛筆画を描く時に使っている道具を紹介します。紹介する全てが必要なわけではありません。特に重要なのは、色鉛筆と紙です。ちなみに、色鉛筆は色数の多さより品質が良いものを買った方が良いです。すなわち、100色5000円よりも20色5000円 の方が後々役に立ちます。
1〜5までは持っていた方が良いものです。また、6〜10は必要に応じて揃えたら良いと思います。
初心者向け色鉛筆画講座①道具
1、はじめに購入する色鉛筆
まず、作品として飾ったり、販売することを考えるなら、耐光性のある色鉛筆を選びます。なぜなら、一般的な色鉛筆は、「紫やピンク」などの色あせしやすい色は、飾っておくと、2年を待たずして色が抜けてしまうからです。耐光性がある色鉛筆は「専門家用」と言われています。価格を比較すると、一般的な三菱880やトンボは1本70円に対して、専門家用の色鉛筆は1本200円以上します。しかし、専門家用色鉛筆は良い顔料を使っているので発色も良く、色も美しいので、価格以上の価値を感じることでしょう。アマゾンやメルカリ、ヤフオクで安く入手できる時もあるので、探してみてください。
使いやすい色鉛筆を選ぶ。
長い時間お付き合いすることになる道具なので、使いやすさはとても大事です。芯の柔らかさや、発色、色の鮮やかさ、握り心地や耐光性などを考えて選びます。
はじめに何本か試してみて、気に入った色鉛筆を購入するのがベストです。画材屋さんに行って、店員さんに「試し塗り用の色鉛筆ありますか?」と聞くと、お試し用の色鉛筆を出してくれます。また、各メーカーの色鉛筆を何本かずつ購入してみるのも良いです。
色によって芯の硬さが違うこともありますので、比較する時は必ず何色かを使ってみてください。芯先が尖っているか、鈍いかによっても感触に違いが出ます。色を重ねてみたり、強く塗ってみたり、弱く塗ってみたりして試します。
迷う時は、これを買えば間違いなし!プロも使う色鉛筆
近くに画材屋さんがなくて、お試しができない人は、「カリスマカラー」か「ホルベイン・アーチスト」、「ファーバーカステル・ポリクロモス」のいずれかを購入すると良いです。この3種類は、いずれも高発色で扱いやすいため、人気の色鉛筆です。また、多くのお店で取り扱われているので、買い足しに困ることがありません。さらに、予算に余裕のある人は、カランダッシュ・ルミナンスもおすすめです。
1、濃くてビビットなカラーなら、カリスマカラー予算が少ない人は、この色鉛筆!
ターレンス・VAN GOGH(油性色鉛筆)を選ぶと良いです。上記の3種と比較すると、色の透明度が高く、発色も少し落ちますが、耐光性が高く、十分に描きこみができる品質です。コストパフォーマンスの良い色鉛筆です。しかし、この色鉛筆は、36色セットでも白が入っていません。そのため、白の色鉛筆だけは購入が必要になります。たとえば、ホルベインやカリスマカラー、カランダッシュ・ルミナンスなどの隠蔽度の高い白を購入しておくと良いと思います。
おすすめ4、コスパの良いVAN GOGH・はじめは、24〜36色セットを選ぶ
最初から色数の大きなセットは必要ありません。150色セットや100色セットを購入しても、多くの色は使われないままケースの中で眠ってしまうことになります。24色〜36色セットなら、全ての色を使えます。まずはこのセットを購入して、描いているうちに「足りないな」と感じる色を単色で購入します。はじめから「必要な色」がわかる人はいません。1、2枚描くと、例えば、「もう少し深い、青みがかった緑が欲しい」などと自然に思うようになります。そうしたら、その色を買い足せば良いです。
・必要な色は単色で買い足す
はじめに買った色鉛筆にこだわる必要はありません。色鉛筆は異なるメーカーのものでも併用できます。多くのアーチストは色々なメーカーのものを併用しています。別メーカーのもので色を買い足す際は、「カラーマッチングリスト」を使用してください。メーカーによって色名が同じでも色が違っていたり、違う色名でも同じ色があるため、色がかぶって購入してしまうのを防ぐことができます。
2、紙
色鉛筆は、木材やレザー、布など色々な物に描くことができますが、やっぱりはじめは「紙」に描くのが王道です。紙は色鉛筆以上に作品の出来を左右します。材質によって保存性が良いなど色々ありますが、今は特殊な紙以外はみんな中性紙で、酸化しにくい紙ですので、それほど気を使う必要はありません。
紙の種類は、描きたい画風と、色鉛筆との相性によって決めますが、いずれを選ぶにしても、厚手(135〜300g/m2ぐらい)で、紙色はなるべく「真っ白」なものが良いです。
リアルに精密に描くなら、紙目の細かいものを選びます。上質紙やケント紙、とても目の細かい水彩紙です。色鉛筆っぽい優しい雰囲気にするなら、凸凹がある紙を選びます。
おすすめの紙は、紙目の細かい水彩紙(ウォーターフォード細目、Beアートペーパー、ストーンヘンジアクア(ホットプレス)、コットマンスムースなど)ですが、まずは手軽に入手できる、上質紙やケント紙ではじめてみるのも良いと思います。
コットン100%の細目紙、Beアートペーパー3、鉛筆、消しゴム・マスキングテープ
鉛筆は下書きに使います。ふつうの鉛筆で良いです。H〜HBぐらいの少し薄めの鉛筆を使います。濃い鉛筆だと、消しゴムで綺麗に消えないことがあるからです。
色鉛筆用の消しゴムが販売されていますが、普通の白いプラスチック消しゴムでも十分です。消しゴムは常に綺麗な状態にしておきます。汚れていると、紙面を擦った時に紙に汚れがついてしまいます。こうして擦った時についた汚れは、とても取れにくいです。
マスキングテープもあると便利です。濃くなりすぎた部分に貼って、剥がすと、色を薄くすることができます。消しゴムと違って、周りに色が伸びたりしないので、繊細に色の濃さを調整できます。
詳しい記事は「色鉛筆を消す&明るくする方法」か「消しゴムで消えやすい色鉛筆」の記事に掲載しています。
4、鉛筆削りとカッターナイフ
カッターナイフや手でぐりぐり削るタイプの鉛筆削りが一番無駄なく色鉛筆を使うことができます。たくさん描くようになると、めんどくさくなって「電動が欲しいな」とか思うようになるので、そうしたら電動のものを購入すれば良いです。※カリスマカラーのような軟質の色鉛筆は、電動鉛筆削りには向いていません。
鉛筆削りは、穴の大きさが色鉛筆の木軸にあったものを使います。穴が大きすぎると、削っている時にグラグラして芯が折れやすいからです。ステッドラーやファーバーカステルなどの海外製のシャープナーは穴が大きめです。日本製のもの(三菱、トンボ、クツワなど)はちょうど良い穴の大きさで、海外製よりも刃の切れ味が良いです。おすすめは、uniポケットシャープナーです。100円ぐらいで入手できます。そのへんの文房具屋さんで売っています。油性色鉛筆なら、こども用の太軸色鉛筆以外はこれで削れます。
穴の大きめな海外製のシャープナーは、色鉛筆の芯だけを削ったりする時に役立ちます。
価格:88円 |
初心者向け色鉛筆画講座①道具をそろえる
5、製図ブラシや羽ぼうき
消しゴムのカスや、色鉛筆の塗りカスなどを払うために使います。色鉛筆はデリケートな画材なので、手で払うと手の油が紙について紙がよごれてしまったり、色が滲んだりしてしまうので、ブラシの使用がおすすめです。ブラシは、ステッドラーやファーバーカステル、ドラパス、ウチダなどの色々なメーカーから出ています。製図やデザイン道具を扱うコーナーに置いてあります。羽ぼうきや静電気がおきにくい馬毛や山羊毛を使ったものを選びます。ナイロン製のものもあります。
安く100均で済ますなら、メイク用のブラシがおすすめです。
製図ブラシ・デザインブラシ6、カラーレスブレンダーやメルツペン 、溶剤など
あれば表現の幅が広がります。色鉛筆の色をのばすものです。メルツペン(HOLBEIN) や溶剤を使うことで、水彩のように色をのばすことができます。ベビーオイルやワセリンなどでも代用できます。
また、カラーレスブレンダーは白く残った紙目を潰したり、色を混色したりするのに役立ちます。カランダッシュ、サンフォード(カリスマカラー)、ダーウェント、リラから販売されていますが、色鉛筆の白でも代用できます。便利です。ちなみに、色鉛筆とブレンダーのメーカーは一緒でなくても全然問題ありません。それぞれ微妙に違いがありますが、とりあえずは、一番手に入りやすい、サンフォードのものを使ってみると良いと思います。
カラーレスブレンダー7、ポスカ(極細)の白
ポスカは他の白のペンと比較すると、隠蔽力が高くて、おすすめです。また、ホルベインのソフト・ホワイト(HOLBEIN Soft White OP501)のように、ハイライトに使える白い色鉛筆もあります。こちらは、ポスカほどの強いハイライトにはなりませんが、少し広めの面を白くしたり、たとえば雪のようなものを上から描いたりするのに良い色鉛筆です。(ハイライトで使える・細い線が描ける白の色鉛筆)
三菱鉛筆 MITSUBISHI PENCIL ポスカ極細PC1M白POSCA 極細 白 価格:148円 |
8、鉄筆や出なくなったボールペンなど
鉄筆やニードルなどの、先が尖っているもので紙を引っ掻いてから色をぬると、引っ掻いた部分は色が付かず、細くて白い線を描くことができます。たとえば、髪の毛や動物の毛描くときに使用します。
画材屋さんの、版画コーナーや、手芸屋さんのレザークラフトコーナーでは、「ニードル(ドライポイント)や「鉄筆」が販売されています。先の太さは色々あって選ぶことができます。また、スクラッチアートという削って下地を出して描くアートがあって、それにつかう「スクラッチペン」も便利です。
セイスクラッチ 専用スクラッチペン 単品 (05/金細)【レターパック対応商品】 価格:1,078円 |
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9、フィキサチーフ
フィキサチーフは、木炭や鉛筆、パステルなどを使った時に、吹きかけて画材を定着させ、作品を守るものです。ちなみに、フィキサチーフは、吸い込むと体に有害な物質が含まれています。そのため、使用の際は、風通しの良い屋外で、30〜40cmぐらい離して使います。また、十分に乾燥させてから、次の作業に移ってください。
パステルフィキサチーフ
パステルフィキサチーフは、作業中、紙目がつるっとなって色が乗らなくなった時に使うと、また色が重ねられるようになる効果があります。
ホルベイン パステルフィキサチーフ 300ml(フキサチーフ、フィキサチフ、定着剤、定着液) 価格:1,265円 |
クレヨンフィキサチーフ
クレヨンフィキサチーフは、仕上げに吹きかけると、ワックスブルーム が起きにくくなります。VAN GOGH、カリスマカラー、ホルベイン・アーチストなどのワックスベース 色鉛筆で厚塗りした時に使用します。ちなみに、ワックスブルーム とは、ワックスが表面に浮いてきて、白っぽくなる現象のことです。
さらに、UVコートのフィキサチーフも販売されています。効果の程はわかりませんが、耐光性に不安がある場合は使用してみても良いかもしれません。
クレヨン保護スプレー ホルベイン クレヨンコート 220ml 価格:1,267円 |
初心者向け色鉛筆画講座①道具をそろえる
ここでは、私が色鉛筆画で使用している道具を紹介しました。以前は、綿棒やティッシュ、溶剤やブレンダーも使用していましたが、最近はあまり使っていません。描いているうちに、自分に必要な道具がわかってきて、洗練されてゆきます。
次回は、「②カラーチャートの作り方」 です。
色鉛筆画講座タイトル | 内容 |
①道具をそろえる | 色鉛筆画を描くための道具と選び方を説明。 おすすめの道具なども紹介しています。 |
②カラーチャートの作り方 | 色鉛筆を購入したら、一番はじめにやること。カラーチャート作り。 必ず役に立つ3つのカラーチャートの作り方を解説します。 色鉛筆別マンセル値一覧もあります。 |
③補色と黒やグレーの使い方 | ワークシートに色を塗りながら色への理解を深めます。 カラーチャートを使って、補色の混色を行います。 補色の説明なども掲載。 黒やグレーを使った、彩度や明度の調整の仕方も解説します。 |