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目立つ色・見えやすい配色は?色の視認性

目立つ色・見えやすい配色は?ポスターや看板、広告バナーでは、人の目を引くデザインや色彩計画が必要になります。では、周辺が多くの色に囲まれている環境で、目的の情報を、見やすく・目立たせるためには、どんな色を使えば良いのでしょうか?

目立つ色・見えやすい配色は?色の視認性

目立つ色・見えやすさは、「誘目性」「視認性」「識別性」「可読性」が影響します。まずは、概論を説明します。

  • 誘目性…人が自然に見てしまう、目立つ&注意を促される度合い。例えば「赤=危険」や「黄色=注意」などの暖色系は誘目性が高い色です。色の持つ生理的な心理効果の働きが影響しています。
  • 視認性…遠くから見た時に、見つけやすいことを「視認性が高い」と言います。視認性は周囲の色によって異なります。明度差や色相差など「対比関係」にある組み合わせの色が見つけやすい。「黄色と黒」「赤と白」のような組み合わせです。
  • 識別性…区別のしやすさの度合。例えばスポーツの「敵・味方」、企業カラー等の差別化に色を使うと効果的です。
  • 可読性…文字や図形の読みやすさ、内容の理解のしやすさです。

目立つ色の要素「視認性、誘目性、識別性、可読性」とは?

誘目性=目立つ色

誘目性の高い色とは、「思わず見てしまう目立つ色」のことです。色には心理的に働き、人の行動を喚起したり誘導する力があります。人は「注意」や「警告」「危険」を感じる色に、興奮を覚えアドレナリンが分泌します。(詳しくは「色のイメージと心理効果」に掲載しています。)それらの色は、目線も誘導され、目立ちます。また、明度が高い膨張色は、低い色よりも、同じ面積でも大きく見えるため、目立ちます。誘目性の高い色は、「有彩色で暖色、彩度や明度が高い色」です。一般に「黄色・オレンジ色(橙色)・赤」は誘目性の高い色です。そして、「青紫」は誘目性の低い色です。

  • 無彩色よりも有彩色の方が目立つ。
  • 濁色よりも彩度の高いビビットカラー、純色が目立つ。
  • 暗い色よりも明るい色が目立つ。
  • 寒色(青、紫)や中間色(緑)よりも暖色(赤、黄、オレンジ)が目立つ。

<誘目性の高い色相順>

左から誘目性の高い順
  • 白い背景の時:赤→黄色→橙→青→赤紫→緑→黄緑→紫→青緑→青紫
  • 灰色背景の時:黄色→赤→橙→黄緑→赤紫→青→緑→青緑→紫→青紫
  • 黒い背景の時:黄色→橙→赤→黄緑→赤紫→青→緑→青緑→紫→青紫

遠くから見える視認性。見つけやすい色の組み合わせ

視認性の良い色、悪い色

視認性は、「その色がどのぐらい遠くから見えるか?」で測ります。例えば、薄暗い時は「黄色」や「オレンジ色」が、明るい時は「紫色」がよく見えます。すなわち、日中と日が沈んだ夜では視認性の高い色は異なります。このように、視認性には、背景と図の色の関係性が大きく作用します。

目立たせたくて、誘目性の高い派手な色を使用しても、周りの色が同じように派手なビビットカラーでは、思った通りの効果は得られません。企業のCIや色彩計画では、周辺にはどんな色があるのか?そして、明るさ(照度)はどの程度なのか?を確認します

その上で、どんな背景でも視認性が確保できるように、カラーバリエーションを準備します。

色相と明暗が対比関係にある組み合わせが最も視認性が高く、類似色相(類似色)で明暗差がない組み合わせは視認性が低く、見えにくい配色です。

背景別にカラーバリエーションを作成する

そのままでは見えにくい色も、白や黒の縁取りをしたり、単色の帯を引くと視認性が確保できます。

<視認性の高い組み合わせ>

  • 無彩色と有彩色の組み合わせ:黄色と黒、赤と
  • 有彩色同士の組み合わせ:紫と黄色、黄色と紫、黄橙と
  • 暗いところでは、明度の高い黄色や彩度や明度が高いルミナントカラー(蛍光色)が見つけやすい色です。

識別性とイメージカラー

色で識別している例

企業やお店、商品、ウェブサイトにイメージカラーを作ることで、他社との差別化をはかり、識別性を高めることができます。イメージカラーが浸透すると、ユーザーは素早く、直感的に対象を見つけることができるようになります。人は情報の80パーセントを視覚から得ているといわれます。さらに、色は形よりも先に認識されるので、色を上手に使うことは「伝えたいこと」を多くの人に認知してもらうための効果的な戦略です。

例えば、JIS安全色彩で標識に使用する色を統一しているのも、識別性を高めて、人々の安全を高めるための工夫です。また、野球やサッカーのユニフォームも、ぱっと見て、敵と見方がわかるように、ホームとアウェイの2色があります。

識別性を高める色は形よりものを言う…!製品イメージに沿った色を選ぶことで、記述されている内容以上のことを伝えることができます。たとえば、赤・白・青のトリコロールの組み合わせでデザインをすれば、多くのユーザーは「フランスと関係あるのかな?」と直感的に感じます。

フレンチレストランとイタリアレストラン

同じ内容の表記でも、色を変えると印象が異なります。

<識別性を高めるポイント>

  • 商品や企業のイメージに一致する色を選ぶ
  • 色相の差を広くとる

<例>ラスタカラー、トリコロールカラー、ユニオンジャック、紅白、JIS安全色彩※、ジャパンブルーなど

※安全色彩とは、危険箇所や避難経路などの安全性を、だれもが遠くからひと目でわかるように示す表示色のこと。

内容の読みやすさ、可読性は大事!

可読性を向上する工夫

可読性は文字や図形などの内容の分かりやすさです。どれだけ目に止まる色を使っても、内容が理解できなければ意味がありません。背景に対する文字や図形の読み取りやすさは、視認性と同じように明度差や色相差があるほど可読性が高いと言えます。しかし、色相差が反対にある補色同士の組み合わせではハレーションが起きてしまい、可読性が低下することがあります。解決するためには、色と色の境界に白やグレーなどの無彩色を入れると可読性が向上します。

目立つ色・見えやすい配色は?色の視認性

目立つ色を使うメリットとデメリット

チラシやポスターなどの広告や看板、バナーやサイトデザインなど広告宣伝ツールを目立たせるために、彩度や明度の高い色を選んで使うのはとても効果的です。

しかし、そうした派手な色ばかりになってしまうと、どこを見たら良いのか判らなくなってしまい、色彩同士がぶつかり合って、下品な印象に感じます。もちろん、スーパーのチラシのように、あえて色彩をぶつけて「エネルギッシュさ」や「安売り感」を出す場合もありますが、美観や品位、企業イメージを損なわないようにするには、調和の取れた色彩計画やカラーコーディネートが必要です。

たとえば、京都やパリでは都市計画に色彩計画が含まれており、看板や建物に使用できない色が定められています。さらに、アウトドアグッズに彩度の高いカラフルな配色が好まれるのは、目立つ色を使うことで遭難等の危険から身を守れるようにするためです。しかし、同じアウトドアであっても、野生生物の調査や釣り、サバイバルゲームなどの時は、カーキやタン、迷彩色などの目立たない色彩の服が必要です。本当に目立つ色を使うべきか?目的を検討することが最も重要ですね。

色が多い>>>>>>>>2、3色

喧  騒>>>>>>>>静 寂

低  価 格>>>>>>>>高 級

目立つ色を上手に使う方法

色を目立たせたい理由は、「危険を避けるため」か「アピールのため」のいずれかです。ここでは、それぞれに適した色の使い方を解説します。

安全確保、危険を避けるために目立たせたい時は?

まず、「目立つ・見えやすい」ということが大事です。そのためには、使用環境にあわせて、誘引性の高い色を選びます。

暖色系、蛍光色(ルミナンスカラー)、彩度の高い色などの

(日中、夜間、街中、自然の中など)

B,アピールのため

「目立つ・見えやすい」ことと同時に、「内容に合った色を選ぶ」ことが重要です。なぜなら、どれだけ目立つ配色を使っても、色と内容が合わなければ、アピール効果が薄れてしまうからです。まずは、メインになるイメージカラーを決めます。そして、その色が引き立つ配色の組み合わせを考えます。多くの色を使用すると、調和をとるのが難しくなるので、使う色は3色程度に止めます。また、デザイン要素が多い場合は、「どこを目立たせたいか?」優先順位を決めると、スッキリとして、わかりやすいデザインになります。

<色とイメージの例>

  • 赤:愛、情熱、熱い、暑い、派手、危険、興奮、勝利、女性、革命、闘志、反抗、欲望
  • 青:冷たい、爽やか、冷静、涼しい、知的、涙、悲しみ、若者、理想
  • 緑:エコ、自然、中立、安心、新鮮、夏、平和、爽快、大人しい、調和、協力、苦味

より詳しい情報は、「色のイメージと心理効果」

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