初心者向け色鉛筆画講座②カラーチャートの作り方
初心者向け色鉛筆画講座②カラーチャートの作り方,色鉛筆を購入したら、まずはカラーチャートを作ります。カラーチャートとは色見本のことです。色鉛筆は、木軸に着色してある色と、実際の芯の色が異なることが多くあります。特にカリスマカラーやダーウェントなどは、驚くほどかけ離れた色なこともあり、木軸の色は目安にしかなりません。ホルベインやファーバーカステル・ポリクロモスはかなり近い色が木軸に塗ってありますが、それでも、「薄く塗った時」と「濃く塗った時」でニュアンスが異なって感じられます。また、紙によっても発色が異なります。
色鉛筆は、他の画材と異なり、塗り直しが難しい画材です。そのため、使用する色を選ぶのに、カラーチャートは度々使用しますので、とても重要です。
なにより、新しく買った色鉛筆で、カラーチャートを作る作業は、新しい色との出会いです。「あーー色、キレイだなー」と感じていられる至福の時なので、楽しんでくださいです。
初心者向け色鉛筆画講座②カラーチャートの作り方,
ここでは、3つのカラーチャートの作り方を紹介します。
一つめは、A4サイズの紙に色鉛筆のメーカー別に分けたカラーチャートのです。これには、そのメーカーの全色が載っていて、自分の持っている色がわかるようになっています。作ったカラーチャートは、ファイルしておいて、新しい色を購入する時に検討するための資料にします。画材屋さんにもこのファイルを持って行って、ファイルしてある紙にお試しさせてもらいます。ま、要するに、カラーサンプルをつくるわけですね。
二つめは、普段使用するカラーチャートの作り方です。小さいカードタイプが便利です。なぜなら、小さい方が机の上に置いておいても邪魔にならないので、使いやすいからです。机の上に出しっぱなしにしているので、たまに褪色していないかをファイルしたカラーチャートと比べてみたりしています。
三つめは、色の配色や混色に役立つカラーチャートの作り方です。これも普段使いなので、小さいカードタイプにしています。補色の関係がわかるように色相環に色が塗ってあるものです。
1、全色カラーチャート
紙はA4の厚口上質紙を使っています。色塗り用の升目が書いてあるフォーマットをプリントアウトして、それに色を塗り、色名を書けばできあがりです。塗り終わったらファイリングして完了です。
A4に108色が着色できるフォーマットを作ってあります。ダウンロードして使ってください。これでなくても、ネット上を検索すると色名が入ったブランクのフォーマットがあったりしますので、そちらを利用してもおKです。わたしは、伊東屋などの画材屋さん行き、店員さんに試し塗り用の色鉛筆を出してもらって、色を塗らせていただきました。(笑)
各メーカーの色名は、下記の公式サイトを見ながら記載してください。
- ホルベイン・アーチスト
- サンフォード・カリスマカラー(プリズマカラー )
- ファーバーカステル・ポリクロモス
- ダーウェント
- カランダッシュ・パブロ/ルミナンス
- LYRA・レンブラントポリカラー
- ロイヤルターレンス・VAN GOGH
- 三菱・ユニカラー
2、カードタイプのカラーチャート
カードタイプのカラーチャートは、色鉛筆のメーカーは関係なく、色別に分けて作りす。必要な色を探せればそれで良いので、色番号とメーカー名と色がわかればそれでOKです。近い色を並べて塗っておきます。そうすると、微妙な色の違いがわかるので便利です。色は使用する範囲が大きくなると、微妙な色の違いが大きく印象を左右するので、慎重に選びたい時は、このカラーチャートがとても役に立ちます。
使用していると、ちょっとづつ色が褪せたり、擦れてぼやけたりしてくるので、ちょいちょい作り直したりもします。
ちなみに、混色のカラーチャートもこうしたカードタイプのものが使いやすいですよ!
私はハガキサイズの紙にしています。私はそのまま使っていますが、穴を開けて、リングを通しておくと便利だと思います。
4、色相環のカラーチャート
上の2つがあるだけでも十分なんですが、色相環のカラーチャートがあると便利です。色相環は色をスペクトラムに並べて、環状に配置したもので、色を体系化するためにつくられたものです。
色相環には、マンセル表色系、オストワルト表色系、PCCS(日本色研配色体系)、CCICなどの種類があります。
まず、マンセル表色系は、基本5色相(赤・黄・緑・青・紫)の中間色相(黄赤・黄緑・青緑・青紫・赤紫)を加えた10色相からなります。また、オストワルトの色相環は、基本8色相(黄・橙・赤・紫・青・青緑・緑・黄緑)をさらに三つに分けた24色相からなります。オスワルト表色系は色の調和に主眼を置いて作られています。ちなみに、カランダッシュは、この色相環にしたがって色を作っています。
私たちは、PCCSやCCISがよく知られている表記です。「ビビット」「ペール」「ライト」などのトーンと色相番号で色を示す方法です。色辞典は、PCCSの表示でカラーをセットしていますね。また、マンセル表色は、色を数値化するのに便利です。
さて、この色相環のカラーチャートがあると、何が便利か?というと、補色の関係がわかりやすいのです。補色とは、色相環で相対する位置にある色ですね。色を使い慣れている人は、補色の色は頭に入っていますが、微妙なトーンになるとやっぱりカラーチャートを見るものです。(補色の効果についてはこちらの記事をご覧ください)
補色同士は混ぜ合わせると彩度を落とすことができます。色を塗って、ちょっと「派手すぎるな」と感じたら補色を上から重ねれば彩度が落とせます。補色の関係は色を引き立たせ合うので、配色にも使えます。
では早速、作ってみましょう!
下のテンプレートをダウンロードして、プリントアウトしてください。ハガキサイズですが、小さすぎて塗りにくい時は拡大して使ってください。紙は厚口の上質紙ぐらいが良いです。(今回はマンセル色相環をモデルに作ります。12色で作る場合やPCCSのように24色でつくる場合は、こちらの「色相環をつくろう」を見てください)
これは、マンセル色相環です。色が当てはめやすいように、色名を記載してあります。が、色鉛筆によって色味は異なりますので、詳しくは下の「色鉛筆別マンセル色相環対応表」を参考にしてください。尚、この対応表はあくまでも私の色合わせで決めたものですので、塗ってみて「違うな」と感じたら随時修正してください。
掲載されていない色鉛筆については、こちらのサイト(色彩図鑑)に色別のマンセル値が掲載されているので、参考にしてください。
※マンセル値の読み取り方 5R(色相。1〜10) 4.6(明度10段階で数字が小さいほど暗い)/14.5(彩度数字が高いほど彩度が高い)
HOLBEIN | KARISMA | FaberCastell | Van gogh | Lyra | |
5Y | 143 sun flower (147 canary yellow) | canary yellow | 107 cad.yellow | 284 Yellow Mid | 08 canary yellow |
10Y | 149 Lemon yellow | Chatreuse | 205 cad.y.lemon | 283 perm.yellow light | 05 lemon cad. |
5GY | 243 Flesh green | spring green | 171 light green | 633 perm.yellowish green | 71 light green |
10GY | 254 Ever Green | apple green | 112 leafgreen | 618 Perm.green light | 70 Apple green |
5G | 235 emerald green | grass green | 163 emerald green | 67 Sap green | |
10G | 247 Viridian | 264 dark phthalo green | 616 viridian 659 seves green deep | 61 viridian | |
5GB | 248 peacock green | peacock green | 156 cobalt green | 55 Night green | |
10GB | 340 peacock blue | Aquamarine | 153 cobalt turquoise | ||
5B | 343 turquoise Blue | peacock blue | 149 Bluish turquoise | 522 turquoise Blue (526 Azure Blue) | 49 Oriental blue |
10B | 335 セルリアンブルー(7.5B) 347 Cobalt blue | Mediteranean blue (True blue) | 110 phthalo blue | 517 King’s blue | (48 True blue) |
5PB | 348 ロイヤルブルー | (Ultramarine Blue) | 120 Ultramarine | 504 Ultramarine | 44 Light cobalt blue |
10PB | 440 パンジー | Ultramarine Blue Penial violet | 141 Delft Blue | 507 Ultramarine violet | 37 Blue violet |
5P | 441 Violet | Violet | 249 mauve | 568 blue violet | (37 Blue violet) |
10P | 443 アイリス | 136 purple violet | |||
5RP | 449 Magenta | Mulberry | 125 middle purple pink 133 Magenta | 537 violet mid | 27 light carmine |
10RP | 040 Rose | Magenta | 142 madder 124 Rose carmine | 24 Rose carmine | |
5R | 044 Scarlet | Scarlet Poppy Red | 121 pale geranium lake | 334 Scarlet | 21 Pale geranium lake |
10R | 046 バーミリオン | 115 dark cad orange | 370 perm red light | 15 dark orange | |
5YR | 048 Orange | Orange | 111cad.orange | 235 orange | 09 orange yellow |
10YR | 142 Marry gold | Yellowed orange | 108 Dark cad.yellow | 285 perm yellow deep |
向かい合った色が補色ということですね。色塗りが終わったら、補色で色を掛け合わせてみてください。無彩色になりましたか?いくつか試してみてください。「より黒くなる組み合わせ」や「影に使うグレー」は、実際の色鉛筆画で良く使う混色です。自分なりの好きな混色の組み合わせを覚えておくと、とても役立ちます。
次回は、この混色をやってみたいと思います。
初心者向け色鉛筆画講座②カラーチャートの作り方,まとめ
カラーチャートを作ってみると、自分の持っている色鉛筆に「どんな色が多いか」とか好みの色とかそうゆうのが自然と出てくると思います。色相環を作ると、少し混色の勉強にもなりますしね。「色はセンスだ」とも言いますが、あるていど理屈を知って、カラーチャートを活用すれば、センスがなくても色は使えます。
色鉛筆が増えてくると、色鉛筆のケースも使わなくなってきます。私は百均のペン立てを使って、カラーチャートにあわせて分類しています。慣れてくると直感的に鉛筆を取り出すことができるので便利です。
そんな感じで、次回は、作ったカラーチャートを使って、色塗りをはじめたいと思います!色のセンスがなくても大丈夫!(笑)
色鉛筆画講座タイトル | 内容 |
①道具をそろえる | 色鉛筆画を描くための道具と選び方を説明。 おすすめの道具なども紹介しています。 |
②カラーチャートの作り方 | 色鉛筆を購入したら、一番はじめにやること。カラーチャート作り。 必ず役に立つ3つのカラーチャートの作り方を解説します。 色鉛筆別マンセル値一覧もあります。 |
③補色と黒やグレーの使い方 | ワークシートに色を塗りながら色への理解を深めます。 カラーチャートを使って、補色の混色を行います。 補色の説明なども掲載。 黒やグレーを使った、彩度や明度の調整の仕方も解説します。 |