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鉛筆デッサン〜花を描く4つのポイント〜

鉛筆デッサン〜花を描く4つのポイント〜,ガラスの花瓶に生けた花。

花は昔から多くの画家のモチーフで描かれてきました。ルノワールやモネ、ゴッホやルドン、サイ・トゥオンブリーも良いですね。私の一番のお気に入りは、ホルスト・ヤンセン(Horst Janssen 1929年11月14日– 1995年8月31日)。この人のデッサンは最高にかっこよくて憧れます。もっとも彼は、花に性的な意味を感じながら描いていたらしいので、私が描いてもあんな風にはなりませんけど(笑)。

ゴッホ アーモンド

花の鉛筆デッサンは洋画よりも日本画の方がお手本が多いです。日本画は自然をモチーフに描くことが多いですからね。尾形光琳や酒井抱一といった琳派も良いですが、私としては、江戸時代の本草学の写生画が最高です。丸山応挙や岩崎 灌園(いわさき かんえん)とか。鉛筆ではありませんけど、パターンを繰り返すのではなく、ひとつひとつの花や葉を丁寧に観察して描かれているところに魅力を感じます。ゴッホの作品もそうした観察のもとで描かれていて、特にアーモンドの絵なんかは色彩も相まって、とても日本的な印象を受けます。

岩崎 灌園 わさび

Wikiによれば、日本の写生画は西洋のデッサンとは似て非なるものらしく、「形式にとらわれずに物の本質に迫る」ものらしいですね。これだけだと「なんのこっちゃ?」ですが、ゴッホは、葛飾北斎の北斎漫画を見て「これこそが本物の宗教だ」と弟テオへの手紙に書いたそうです。そんな風に描けたら良いな〜と思ったりします。

デッサン画と写生画を比べると、デッサン画は面で描いて量感が表現されているのに対して、写生画は線を中心にしています。また、デッサン画は見たものを見えるままに明暗で表現し、その空間の空気感を描き出しているのに対して、写生画は詳細な観察のもと、そのものの構造や働きを描き出しています。要するに、図鑑的な、博物館学的な描き方なのかな?と思います。詳しくは、バイオダイバーシティ遺産図書館で下の写真のような画像をたくさん見ることができます。鉛筆画というよりは「線画」なんですけども、鉛筆でも参考になるかと思います。ヤンセンの描く花も、こんな感じの細密な「線画」でかっこいいんですよね。

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鉛筆デッサン〜花を描く4つのポイント〜

花は精密で繊細な描き方をしたいので、目の細かいケント紙に描いています。使っている鉛筆は、三菱鉛筆のuniのです。(おすすめのデッサン鉛筆について詳しくはこちら

花のデッサンで気をつけたことは以下の通り

  1. 花の色を描き分ける
  2. 花弁の厚みや柔らかさを表現する
  3. 花瓶の硬い質感
  4. 水と水の中の茎の表現

1、花の色を描き分ける

花のように華やかでカラフルなものを、敢えて「白黒」で表現するわけですので、色の描きわけはとても重要です。濃い色は6Bや8Bのような「濃い色」の鉛筆で塗り込んでから、光の当たっているところを練りゴムで抜いていきました。薄い色はH〜2Hなどの「薄い色」で描いています。

2、花弁の厚みや柔らかさの表現

チューリップのような厚みのある花弁もあれば、スミレやパンジーのような薄い花弁もあります。花弁の厚みによって、光の透けぐあいが異なります。このあたりをしっかり描くと、光を感じるデッサンになると思います。柔らかさについては、柔らかい物はB以上の「柔らかめの鉛筆」を使い、硬い物は「硬めの鉛筆」を使います。具体的には、花弁は2Bで、花瓶はH〜3Hぐらいで描いています。

3、花瓶の硬い質感

花瓶は硬く、透明感があるものです。これを描き分けられるとリアル感が出てきます。前述したように、鉛筆は硬めのH〜3Hをメインに使って描いています。コツは、暗い部分はしっかりと真っ黒に塗ることです。特に花瓶の口のあたりにメリハリをつけると、より硬質な印象になります。

4、水と水の中の茎の表現

水と水の中の茎。一番描いていて楽しい部分です。このあたりを丁寧に描くと、かなりクオリティアップがします。花瓶の縁に当たっている部分はしっかりと色を濃く塗るのと、水と空気の境目の明暗を明確にすること、水の中の茎と水に入っていない茎の描き分けが重要なポイントだと思います。

鉛筆デッサン〜花を描く4つのポイント〜,まとめ

花はあまり長時間かけていると枯れてきて姿が変わってしまいます。枯れた花はそれはそれで魅力的だけれど、生き生きした状態で描きたかったら、なるべく手早く描いていきたいところですね。(ちなみに、切り花は花瓶の水にハイターを入れると長持ちするらしいです)トップの画像はしっかりと鉛筆で面を塗り込んでいますが、下の画像のように、あまり明暗を気にしないで、線のハッチングで手早く表現する方法もおすすめです。このぐらいだと、色鉛筆やマーカーで着色してもいい感じに仕上がると思います。

kazikaeru:

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