色鉛筆のハッチングと混色を比較
色鉛筆のハッチングと混色を比較,私たちは色鉛筆で平塗りやシェーディング、ハッチングで重ねることによって、様々な色や質感を表現します。しかし、色鉛筆によって、隠蔽度・透明度や色の混じりやすさ、重ね塗りの得手・不得手が異なるため、混色によって得られる効果も違ってきます。いくつかの特徴のある色鉛筆を取り上げて、どのような違いになるのかを調べます。
<比較した色鉛筆>
- ファーバーカステル・ポリクロモス(一般的なオイルベース色鉛筆)
- ダーウェント・ライトファスト(不透明色のオイルベース色鉛筆)
- カリスマカラー(旧プリズマカラー )(隠蔽度の高いワックスベース 色鉛筆)
- ダーウェント・カラーソフト(色がまざりやすいワックスベース 色鉛筆)
不透明な色の混色・ハッチングを比較
白・黄土、こげ茶、グレーなどの不透明色をハッチングで重ねて、表現の違いを比べます。
- ①グレー→黄土色→こげ茶→白の順にハッチングを4回重ねたもの。
- ②1回だけハッチングしたもの
- ③濃い色からグラデーションを作り、最後に白を上から塗ったもの
faber-castell ポリクロモスは、③では多少色味が明るくなるものの、ハッチングでは白がほとんど機能しないので、重ねるごとに深い、濃い色になっていった。他の3種類については、透明度の違いはあるが、上にのせる「白やグレー」によって完全に暗くならずに、明るさを維持している。
Derwent カラーソフトは、明るい画面だが、色が混じり合って中間色となった。カリスマカラーも明るくなるが、Derwent カラーソフトと違って、一本一本の線が明瞭に出ている。Derwent ライトファストは、隠蔽度はそれほどでもないが、ハッチングにおいてはそれなりに明るさを保持し、白やグレーの線もそれなりに明瞭に出ている。
透明色を交えた色の混色・ハッチングを比較
やっぱり、色があるとキレイですね(笑)どれもいい。どれもいい色!!
イエロー、オレンジ、ネイビー、ホワイトを使った比較です。
- ④ネイビー→オレンジ→イエロー→ホワイトの順に4回ハッチングを重ねたもの
- ⑤一回のみハッチングしたもの
- ⑥濃い色からグラデーションを作り、最後に白を全体に塗ったもの
こちらでもやはり、faber-castell ポリクロモスは、混色ではそれなりに白くはなるものの、ハッチングでは白は機能しないため、どんどん暗く、深い色へと変化した。
もっとも明るい色となったのは、カリスマカラーだ。色にかかわらず、全体的に色の隠蔽度が高いためだろう。一方、Derwent カラーソフトは、透明度の高い色もあるようで、不透明色のみの実験よりも明るくならなかった。この2つのワックスベース の色鉛筆は、どちらも重なる色が混じり合っている。
Derwent ライトファストは比較的明るく、透明度の高い状態を保持している。色のバランスが良く出ている。不透明度に均一性があるのだろうか。オイルベースなので、色が混ざらず一本づつの線が明瞭でキレイな画面。
色鉛筆のハッチングと混色を比較,まとめ
隠蔽度が高い色鉛筆は、濃い色の上に明るい色を塗り重ねると、画面を明るくさせることができます。多くのワックスベースの色鉛筆で、専門家用のものは隠蔽度が高くなっていますが、品質によっては顔料が少なく、透明度が高いものもあります。また、芯がやわらかいため、色が混ざりやすく、ハッチングの線がぼやけていきます。※顔料の少ないワックスベース の色鉛筆は芯が硬めです。
また、一部のワックスベースの色鉛筆は、重ね塗りが苦手なため、
多くのオイルベースの色鉛筆は、ワックスベース に比べると隠蔽度が低く、暗い色の上に明るい色を塗り重ねてもあまり明るくはなりません。ハッチングにおいては、白を重ねても、ほとんど明るさが変わらないで、重ねるほどに色が濃くなったいきました。しかし、下に塗った色と混ざりにくく、ハッチングの線は明瞭なため、複雑で繊細なディティールを描くことができます。
色鉛筆名 | 線 | 隠蔽度 | 明るい色の塗り重ね |
カランダッシュ・ルミナンス カリスマカラー | 不明瞭 | 強い | 明るくなる |
ダーウェント・カラーソフト ユニ・カラー ホルベイン・アーチスト | 不明瞭 | 中 | 明るくなる |
ダーウェント・ライトファスト ユニ・ペリシア | 明瞭 | やや低 | 明るくなる |
ファーバーカステル・ポリクロモス カランダッシュ・パブロ ターレンス・ヴァンゴッホ ダーウェント・アーチスト リラ・レンブラントポリカラー | 明瞭 | 低い | 暗くなる |