これ以上色がのらない?つるっとなった紙目を復活させる,色鉛筆を重ね塗りしていると、紙の歯がなくなり、表面がつるっとなってきて、色が乗らなくなってきます。色鉛筆の種類によって、重ね塗りの限界は違うのですが、この間、ホルベインから「パステル フィキサチフ」をかけると、また色を重ねられると聞いたので、試してみました。
これ以上色がのらない?つるっとなった紙目を復活させる
試したのは、ユニカラー です。
ユニカラー といえば、薄塗り専用とも言われるほど重ね塗りの苦手な色鉛筆。
顔料の量が他の専門家用色鉛筆よりも少ないので、濃い色にしようと思うと塗り重ねが必要な色鉛筆。だけど、ワックスが邪魔をして塗り重ねができない色鉛筆です。
良く言えば、「常に仕上げのバニシングがされている」ような色鉛筆です。
4層ぐらい重ねたらもうツルッとなっちゃう色鉛筆なので、混色の基本「明るい色から塗り始める」をすると、下手をすると「どこにも暗い部分がない絵になる」という色鉛筆です。普段、ふだんカリスマカラーやファーバーカステルを使っていると、「まだ塗れるだろう」と思って下の色をしっかり塗ってしまうので、そうゆう風になりやすいです。
初めから濃い部分は濃い色で塗ればいいのだけれど、「明るい色から塗る」ことに慣れていると非常に塗りにくくて不便なんですね。色は透明感があって、混色もきれいなので、重ね塗りの苦手さを克服できれば、コストパフォーマンスの高い、最高の色鉛筆なんですよ。
1、検証方法
- 紙:muse スケッチブック SHーYellow(滑らかな紙です)
- 定着剤:ホルベイン パステル・フィキサチフ
- 色鉛筆:三菱・ユニカラー
- 完全にツルツルになるまで黄色、オレンジ、赤、ブルーの順に重ねていく。
- 色が乗らなくなったら、パステルフィキサチーフを吹きかけ、乾いたらまた、1の順で塗り重ねる。
2、検証結果
左)が何もしないで塗った物です。3層塗って最後の青はあまり乗っていません。それにしても、ブレンダーもバニッシャーも白の色鉛筆も使わずに、この艶のある滑らかな面が作れるなんて、すごいです。
右)がフィキサチーフを2回かけて、塗り重ねたものです。かなり色が濃くなりました。ユニカラー はワックスブルーム が起きにくい色鉛筆ですが、なんと、そのユニカラー にワックスブルーム が起きています。
パステルフィキサチーフを吹きかけると、ツルツルだった紙面がざらっとして、紙目が復活して、また塗り重ねることができました。ユニカラー もこのぐらいまで濃く塗ることができれば、メリハリのある画面が作れそうです。
もっとも、いちいちフィキサチーフをかけるのは手間なのですけどね。
これ以上色がのらない?つるっとなった紙目を復活させる,まとめ
ユニカラー でここまでいける。
おばかさんな私は、途中経過を記録していませんでした。が、ユニカラー を知っている人ならば、わかるはず。
このぐらい濃く色が付けられるのは、ユニカラー だけでは難しいということを!
ましてやこの紙は、ケント紙までは行かずとも、かなり目の細かい紙(muse スケッチブック SHーYellow)で、色が濃くなりにくいのですが、このぐらい深く鮮やかな色が出せれば文句ないですね。
問題は、非常に根気が必要ってことだけです。ユニカラー はツルッとなってからも、色はあまり乗りませんが、画面が汚くなることなく、すこーしづつ色がつくのです。(そのあたりはとても優秀。)パステル フィキサチーフは、その手助けをしてくれるものなので、色を濃くするには根気が必要であることに変わりはありません。
<注意事項>
- フィキサチーフは換気の悪い室内で使ってはいけません。とっても体に悪いそうですよ。防水スプレーなんかでも、病院に運ばれた例がありますしね。
- フィキサチーフの代用品でヘアスプレーはやめた方がいいらしい。
- フィキサチーフをかけて、乾かないうちに描き足すと、顔料がへんに固まった部分ができてしまって、画面が汚くなるので、様子をみながら丁寧に仕事を進めてください。私は、カラーソフトで酷いことになりました。
- 海外のウェブサイトをみていたら、VanGOGHの色鉛筆はフィキサチーフをかけると、粒々とまるい跡がついてしまったという風に書いてありました。検証していないのでわかりませんが。