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色の見え方、対比と同化

色の見え方、対比と同化. 色は単色で見た時と、他の色と共に見た時では、色の見え方が変わります。無彩色(白黒)、近い色や補色の色同士でも、色の面積の違いでも、色の見え方は変化をします。色同士がどう互いに影響しあっているのかを知ることで、色の組み合わせ・配色の調和をコントロールすることができます。色と色の関係には「対比」と「同化」があります。

  • 色を並べた時に、それぞれの色を単色で見たときよりも、コントラストがはっきりして、違いが際立つ関係を「対比」と言います。
  • また、質の違う2つの色が同じように見えることを「同化」と言います。

色の見え方、対比と同化, 同時対比

二つのグレーを見比べる

異なる地色に同じ濃さのグレーを同じ面積で塗りました。真ん中の二つのグレーを見比べてみます。

周りの色が異なると、中のグレーも異なって見えるのが分かりますか?周りが赤いと、グレーが少し緑がかって見えます。また、周りが黄色いと、紫がかって見えます。これは、囲まれた色の補色が中心に滲んで見える、「色陰現象」と言われるもので、残像効果が影響しています。中心の色がグレーではなく、有彩色であっても、同じように周りの色の補色が混じって見えます。

このように、2色以上の色を同時に見た時に、周辺の色に影響を受けて、異なった色や大きさに見えることを、同時対比と言います。同時対比には、色の三属性(明度対比・彩度対比・色相対比)や補色対比、面積対比などがあります。対比は色や柄を際立たせたい時に活用されます。

補色対比

地と図の2色が補色の関係のとき、補色対比と言います。補色対比は、最もコントラストが強い対比です。補色とは色相の反対にある色です。絵具で混色するとグレーになる組み合わせです。たとえば、黄色+青紫、赤+青緑、紫色+黄緑、オレンジ+青が補色の組み合わせです。(詳しくは「補色(反対色)の効果と組み合わせ」

補色の組み合わせを見ると、ギラギラとチラついて見えることがあります。これは、お互いに色みを強調しあって、それぞれの色がより鮮やかに見えるため、色と色の接点がハレーションを起こしているからです。「目が受けた色の刺激を緩和するために、反対の色が見える」という「残像効果」によるものです。そのため、細い文字を補色で表すと、読みにくくなってしまいます。
その場合、色相を変えるだけでハレーションが収まったりするので試してみてください。

「マグロの寿司に緑色のバランを入れると、赤みが鮮やかに見えて、マグロが新鮮に見える」のも補色の対比効果ですし、「緑の葉に赤い実が鮮やかに見える」というのも補色対比です。ヨハネス・フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」も少女の青いターバンと黄色い髪が補色対比によって、お互いの色を鮮やかに見せて、印象的な絵画となっています。

補色対比
ヨハネス・フェルメール「真珠の耳飾りの少女」

②明度対比・明暗対比

明度対比

明るさが異なる二つの配色があった時、地色の明度が低い方(左)は、地色の明度が高い方(右)よりもグレーが明るく見えます。このように、明度が異なる2色を配色した時に、その差が強調して見える現象を明度対比と言います。地色と中の色の差が大きいほど、対比の効果は高くなります。

⭐️図を明るく見せたい時は、地の色を暗くして、暗く見せたい時は、地の色を明るくする。

③色相対比

色相対比。青の地色(左)紫の地色(右)

上の図では、青の地色(左)は中心の色が赤みがかって見えます。また、紫の地色の方(右)は色が青みがかって見えます。このように、色相が異なる二つの配色があった時、それぞれの色相が、色相環の反対の方向に映ったように感じられます。これを色相対比と言います。色相環とは赤、黄赤、黄、黄緑、緑、青緑、青、青紫、紫、赤紫の10色を基本色として、これを円環状に順番に並べた図です。(詳しい色相環の説明はこちら

④彩度対比

彩度の異なる地色の配色

上の図では、地色の彩度が高い方(左)はより鮮やかに見えます。そして、地色の彩度が低い方(右)は色が濁って見えます。このように、彩度が異なる2色の差が強調して見える現象を彩度対比と言います。また、明度差や色相の差があまりない方が、彩度対比は起こりやすいです。

⑤面積対比

二つの面積の異なる配色をした場合、面積が大きい場合より、小さい場合の方が、少し暗く見えます。このように、面積の大きさによって色が異なって見える現象を面積対比と言います。また、色相や明度のちがう色を、同じ色に見せたいときは、大きさを変えて、見え方を調整する工夫が必要です。

色の見え方、対比と同化, 同化現象(フォン・ベゾルト効果)

対比とは逆に、お互いの色の差が小さくなって、同じように見える現象を同化現象と言います。「フォン・ベゾルト効果」とも言われます。

同化現象は、図が細かく、色相や明度、彩度が近いほど効果が大きくなります。同化現象を効果的に活用した例は暮らしの中でも見かけます。例えば、スーパーのお肉のトレイを、肉に近い色のベージュにすると、肉とトレイの色が同化して、白いトレイに乗せた時よりも量が多く見えます。自然界でも、昆虫の模様や動物の柄は樹木や草原と同化していて、身を隠すのに役立っています。

同化と対比は相反する効果を持つものですが、柄の大きさや、見る距離によって、対比になったり同化になったりと、見え方が変化します。遠くで見ると同化して見えるものも、近づいてみると、はっきりと見えたりします。

柄が大きいと対比になる
柄が細かいと同化する

①明度同化

明るさが近いと明度同化の効果が大きくなる。50%のグレーを地色にして、明るい色と暗い色のグレーでストライプを引くと、明るい色で引いたストライプの方は、50%のグレーが明るく見え、暗い色で引いたストライプは、50%のグレーが暗く見えます。

明度同化。左は明るく、右は暗く見える。

②彩度同化

中程度の彩度の色を地色にして、鮮やかな色とグレイッシュな色でストライプを引きます。すると、鮮やかな色のストライプは、より鮮やかに見えます。また、グレイッシュな色で引いたストライプは、色が鈍く見えます。2色の彩度を近づけることで、より同化して見えます。

彩度の同化

③色相同化

色相が近いほどより同化して見えます。同じ地色に、色相の異なるストライプを引きます。ピンクのストライプは間の色がピンクに寄り、水色は間の色が水色に寄って見えます。

色の見え方、対比と同化, まとめ

配色を考える時、色と色の関係性を考えることは重要です。対比や同化など色の見え方を知ると、色のバランスをコントロールすることができます。

カラーチップを紙に貼り、対比の組み合わせを試したり、実際の生活の中で「対比」や「同化」の例を見つけることで、かなり身に付けることができます。

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色を体系的に学ぶ

1、色相・彩度・明度、表色系で色を知る

2、色相環とは? 配色に便利な色相環をつくろう

3、補色(反対色)の効果と組み合わせ

4、混色の種類と絵具の混色

5、色の見え方、対比と同化

6、暖色・寒色・膨張色など

7、色のイメージと心理効果

8、目立つ色・見えやすい配色は?色の視認性

他の色を見る <赤系> <黄色系> <緑系> <青系> <紫系> <色鉛筆の色名(JIS)とマンセル値対応表>

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