油性色鉛筆の混色を比較
油性色鉛筆の混色を比較>
色鉛筆の性質によっては、下に塗った色と混ざりやすい色鉛筆と、下に塗った色とは混ざりにくい色鉛筆があります。この性質と、隠蔽度(下の色がどのぐらい隠れるか)によって、混色の見え方が変わってくるようです。
一般的に、「下の色と混じる=色が濁る」「下の色と混じらない=透明感がある」混色になるので、高級な色鉛筆はたいてい、「下の色と混じらない」ようにしてあります。これらは、色を重ねる(レイヤード)混色がキレイで、色鉛筆らしいキラキラとした混色になります。
しかし、あえて「紙の上で色を混ぜて描く」ように作っている色鉛筆もあります。柔らかい芯に圧をかけることで、下の色と物理的に混色できるようになっています。こうした色鉛筆は、白や明るい色で上から強めに擦るだけで簡単に混色された滑らかな面をつくることができます。
油性色鉛筆の混色を比較では、3つのパターンに分けて比較しています。
1、ブレンディングが得意な色鉛筆
<特徴>柔らかくて滑らかな芯で、下の色と混じりやすい。ブレンディングに重きを置いて開発されたと思われる色鉛筆。
●三菱 ペリシア(芯の柔らかさ5、発色5、重色5)
混色も重色も得意。べったりと塗れる柔らかい芯ですが、比較的透明度の高い色で、油彩的な印象を受ける混じり具合です。混色でも優秀ですが色の透明度が高いので、重色によって重厚感とメリハリのある画面を作りやすいです。広い面を塗りやすく、絵具で絵を描くように使えます。
●カリスマカラー(芯の柔らかさ4.5、発色5、重色3)
周りの色と溶けあうようにして混じるタイプの混色。重ね塗りも得意。
隠蔽度も高いので上から明るい色も乗せられます。
柔らかい割にはコントロール性が高いので、ブレンドも楽。
●ダーウェント カラーソフト(芯の柔らかさ5、発色4、重色1)
画面上で粉の粒子が混じるような独特の混色。パステルのような簡単でキレイな混色ができます。
重ね塗りは弱いです。混じる色が美しいので、塗りながら微妙な色を楽しめます。
紙目をつぶすような使い方は難しい。広い面をラフに塗るのが得意。
●三菱 ユニカラー(芯の柔らかさ2、発色2、重色2)
重ね塗りが苦手との前評判のユニカラー。やはり限界は早かった…。
混色はとても美しいが、重ね塗りの弱さは比較ラインナップ中では断トツの最下位。
ステッドラー・エルゴソフトと同程度。透明感のある鮮やかな色と重ねが苦手な特徴で、
必然的に軽やかな雰囲気の絵になります。
2、レイヤーでの混色(重色)がキレイな色鉛筆
<特徴>透明感のある色彩で塗るほどに色が濃くなるので、単色でもニュアンスのあるカッコいいグラデーションが作れる。下の色とあまり混じらないので、色が濁りにくく、透明感を維持する。
●カランダッシュ パブロ(芯の柔らかさ4、発色4、重色5)
六角形の形のせいか、コントロールが少し悪く、気を抜いて、ちょっと力を入れると跡が残ってしまいます
丁寧に何度も塗り重ねるのがコツですが、キレイに整えば、ダントツに美しい。
下の色が滲まないので、きらきらとした光を感じる混色になります。重ね塗りの強さは必要十分なレベルです。
●リラ レンブラントポリカラー(芯の柔らかさ4、発色4、重色4)
透明感のある落ち着いた色。
色をぬるほどに濃くなるので単色での濃淡を出しやすい。
芯は細くても「気持ちのいい塗りやすさ」で、多少力を入れても画面に線が残らないのでキレイな混色ができます。重ね塗りは強くありませんが、それほど問題を感じない程度です。
●ファーバーカステル ポリクロモス(芯の柔らかさ3、発色5、重色3.5)
下の色は滲まずに、適度な透明感のある混色です。重ね塗りも得意。
キメ細かく、カリスマカラーと併用できるぐらいに濃く塗れますが、
塗りまくってもべったりと平面的にならない所が、ワンランク上の高品質。
芯が硬めでコントロール性がイイので、色の混じり具合をしっかり確認しながら丁寧な作業ができます。
●ホルベイン アーチスト(芯の柔らかさ4、発色5、重色2.5)
色の鮮やかさが特徴のホルベイン。
カリスマカラーよりも柔かな塗り心地で繊細な混色ができる。
重ね塗りも必要十分に色が乗ります。最後にワックスでピタッと収まる感じに仕上がるのが気持ちいいです。
3、バランス派色鉛筆
<特徴>重ね塗りも混色もバランスが良い。繊細な混色で色鉛筆らしい柔らかい画面ができる。
ダーウェントアーチスト ヴァンゴッホ
●ロイヤルターレンス ヴァンゴッホ(油性)(芯の柔らかさ3.5、発色3、重色4)
思った以上に繊細な混じり方のヴァンゴッホ。
同じ価格帯の中では、最も重ね塗りができます。
透明感のある色ですが、塗り心地は少し紙にひっかかる感じです。
それが気持ち良いのです。
重ね塗りが得意なのも、その滑らない感じが
関係しているのかもしれませんね。
●ダーウェント アーチストカラーペンシル(芯の柔らかさ1、発色2、重色2)
ラインナップ中、最も硬く感じる芯。
硬さのバランスで考えれば、発色は悪くないが、まぁ薄い。
重ね塗りはかなり乗るので、
じっくりと何度も色を重ねていくと良いです。
芯も太いし色も濃くないので、
紙目をつぶすような塗り方は難しい。
油性色鉛筆の混色を比較,まとめ
いかがだったでしょうか?
油性色鉛筆の混色を比較.してみました。
おおよそは、ワックスベース とオイルベースの違いに準じるところがありますが、それぞれのメーカーによっても異なっているのがわかりました。
(ワックスベース とオイルベースの違いについてはこちらの記事を参照ください)
混色のかんじや、重ね塗りの得て・不得手によって、できる表現が変わってきます。
カリスマカラーでどんなに頑張っても、カランダッシュ・パブロのような混色はできません。
ユニカラー でどんなにがんばっても、ペリシアのような力強い面はつくれません。
なので、混色の違いを知ることは、色鉛筆を選ぶ基準になると思います。
「弘法は筆を選ぶ」ということですね(笑)
重ね塗りの得て・不得手は、今回の記事ではあまり正確に言及していませんが、色鉛筆画を描く上ではとても重要な要素なので、そのうちちゃんと比較してみようと思いますです。
とりあえずは、一本200円以上の色鉛筆から選べば、問題なく、重ね塗りのレベルは一定以上です。
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