クレパスで描く人物画
サクラ「クレパス・スペシャリスト」とぺんてる「オイルパステル forArtisut」との比較記事で描いた人物画の制作過程です。
2つのオイルパステル の違いがすごくよく分かると思います。
※紙は、マルマンのオレンジと黒のスケッチブックです。
クレパスで描く人物画
- イエロー〜オレンジ系で下地をぬる。
左のクレパス・スペシャリスト(サクラカラー)は手で擦るとググッと色が広がるので滑らかな面が出来ます。一方、右側のオイルパステル forArtist(ぺんてる)は擦っても線が消えない
- ブルー系で影をつける。
左のクレパス・スペシャリスト(サクラカラー)は明るい色を保持しています。一方、右側のオイルパステル forArtist(ぺんてる)は落ち着いた色で、下の色と重なって濃くなりました。
もうこのあたりでかなりの違いが画面で分かります。 - コバルトブルーで大まかな顔の線を引く。
同じ色を使っていますが、左のクレパス・スペシャリスト(サクラカラー)は明るくて発色が良いです。手で擦ると広げた色が、良い感じでボケて柔らかい感じになりました。また、ニュルニュルとした滑りの良い感じなので、柔らかいゆるゆるとした線が引けます。
右側のオイルパステル forArtist(ぺんてる)はブルーの色がアンダートーンで、落ち着いた感じ。線を擦っても、クレパスのように鮮やかに色が広がることはありません。ちょっと色鉛筆っぽいですね。 - 描きこみー1
ピンクや茶系と白を使いながら、描きこんで画面の密度を上げていきます。左のクレパス・スペシャリスト(サクラカラー)は擦ればすぐに紙目が消え流ので、とにかく作業が早い。割とすぐに、思ったような画面が描けます。右側のオイルパステル forArtist(ぺんてる)は根気強く色を重ねていきます。何度も塗り重ねて、それでもまだ、紙の目が白く残る。かなり厚く塗らないと紙目が消えない。もっとザラつきのない紙に描くべきだったと後悔。
- 描きこみー2
ハイライトの白や肌の赤みなんかをポイントカラーで入れて描き進めます。
左のクレパス・スペシャリスト(サクラカラー)は、白が効いて立体感が出てきました。赤も映えて、顔の表情がはっきりとしてきました。
右側のオイルパステル forArtist(ぺんてる)は上から塗った白がイマイチはっきり出なくて、頬のふくらみとかを表現するのに一苦労。色の塗り重ねでどうにか立体感を出そうとしています。必然的に色んな色を使うことになりました。「いまいち描きづらいなー」と思っていたけれど、それが逆に、器用に描かれた感じがしなくて良いです。なんか、夏休みの宿題みたいな絵だな(笑)
「思ったように描けない」って素晴らしいなと思いながら描いていました。 - 仕上げ
左のクレパス・スペシャリスト(サクラカラー)は引っ掻いた線がはっきり出るので、それで細かい部分を描いで仕上げにしました。
右側のオイルパステル forArtist(ぺんてる)は、仕上げというよりも、ひたすら色を重ねてどうにか形にしようという試みのまま終了。
終了後の感想
左のクレパス・スペシャリスト(サクラカラー)は、初めのドローイングの線を生かしたユニークな表情の人物画となりました。オイルパステル らしいニュルッとした感覚に慣れているせいかもしれませんが、さらさらと描けて、どんどん絵が仕上がっていくので、描いていて楽しい。
右側のオイルパステル forArtist(ぺんてる)は、色々と苦労の連続。擦ってもあんまり伸びない、線引いてもはっきり出ない。色を重ねると、暗くなったり、濁ったり、白はハッキリ出ないし、画面への喰いつきが良いもんだから、引っ掻いてもあんまり削れないし。いつまでも紙目が出ているし。「なんだよー」って思ったけど、苦労して時間がかかった分だけ面白い画面になったと思う。じっくり向き合う時間がとても楽しかった。ちょと、カランダッシュのネオカラー1に近い感じのパステルなので、一回そんな感じで描いて見るのも良いかも。
もっと色んな使い方が出来そうなので、次回はまた、他の描き方で試してみようと思います。